現場発のISO9001コンサル実況【第12回 是正処置】

当ブログでは、私、渡邉和彦が担当させていただいているお客様の「実際の仕組み構築」に合わせ、臨場感のある“コンサルティング実況”“仕組み構築情報”を公開しています。

このお客様のしくみ作りの実況も最後となりました。今回は、是正処置です。

冒頭、お客様へはこんなことを申し上げました。
  ”是正処置で大事なことは、選択と集中です。”
  ”「広く浅く是正する」は一番やってはいけない最悪のことです。”
  ”だから、管理者は、「何でもかんでも是正しろ」「是正が目的」のような考えは
   絶対に持たないでください”

従って、是正処置のしくみを作る際にも、一番よく説明させて頂いたのが、
「どこでどんなことが起きた時に是正するのか」を具体的にハッキリと決めましょう
ということです。

例えば、今回は、
  ・工程内検査での再発不良
  ・出荷検査での全ての不良
などなどと決めました。

逆に言うと、工程内検査で発見された初めての不良は原因究明も処置もしないということです。

一見、悪いことのように見えるか もしれません。
でも、このお客様は、現状、工程内不良の是正に手が回らず、前述の「広く浅く。上辺だけの是正処置。」になっているのです。
マンパワーと技術力と資金は無限ではありません。できないものはできないのです。そのため、全ての問題に、「広く浅く」が蔓延していました。

“現実的にできないものはやらない。できるもの、やらなくてはならないものに集中し、厳しくやる。”

このような意図が現れるようなしくみにさせて頂きました。

現場発のISO9001コンサル実況【第11回 プロセスの監視及び測定】

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今回のお客様は、現時点で概ねのしくみ作りが完了したところです。
約半年間の作業でした。
お客様の「本音」を引き出させて頂くことができ、「実のあるしくみ」ができたと考えております。

今日は「8.2.3項 プロセスの監視及び測定」について、実況させて頂きます。

この時は、始めにお客様から、”8.2.3項は全然言っていることがわからない”との意見を頂きました。
まあ、そんなに慌てないでと、次の様に考えて頂きました。

8.2.4項で製品の監視測定をしろと言っているでしょう。
これは、作った製品が良いかどうか検査をすることです。
そしたら、全く同じように、「作ったルール」「やっている仕事」が良いかどうかの検査もするべきでしょう。
非有効的なルール、無駄なルールを一生懸命実施して、結果、製品の問題が発生していなくとも、そのような状態は、会社にとって良いことではありません。
だから、プロセス(ルール、やり方)も検査して、ダメだったら改善しましょうということです。

今回は、
  「監視 : 見張り ⇒ アナログ的な相談」
  「測定 : 結果 ⇒ 不良率などの、結果を表すデータ」
この2点について、しくみを作りました。

具体的な一例は、
 ・毎月の全体会議の1コーナーに 「データ報告」 のコーナーを設けました。
 ・そこで決められた 「結果を表すデータ」 を共有化します。
 ・それを参考にし、関連する仕事のルール、やり方に問題、やりにくさ、改善提案
  などの意見が無いかどうかを検討し、必要であればルールを改善します。

“ルールを作り、ルールに従う。ルールに従い、ルールを変える。”

この基本中の基本を行うこと、それが、8.2.3項が求めていることです。
次回は、8.5.2項を実況します。

現場発のISO9001コンサル実況【第10回 顧客満足】

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今回は、8.2.1項の「顧客満足」のしくみ作りです。
2008年の改正でも事例が追記されましたが、顧客の本当の評価情報を得る手段を見つけることは難しいものです。

まず、8.2.1項の目的を見失わないことを強く理解していただきました。
目的は、「顧客満足の向上」です。
わかり切ったことと思われるかもしれませんが、この目的を見失っているケースが多々あります。
調査、情報収集、分析が目的となってしまっているケースです。

例えば、アンケートを作って、配布して、回収して、グラフにして分析するなどの取組がよく見られますが、これは単なる手段で、結果、どんなアクションを取ったかが勝負です。
 典型的な悪い例 : アンケート ⇒ 評価項目別グラフ化 ⇒ 関係者が共有 ⇒ 終わり
 良い一例 : 担当者が顧客から気になる情報を入手 ⇒ 月次の品質会議で報告
       ⇒ 対応協議 ⇒ 実施

両極端な例を示しましたが、一見、情報をたくさん入手して、きれいに整理(分析)していると、きちんとやっているように錯覚しますが、それは全く別物です。
何も無くとも、必要な対応をとっている方が数段良い活動です。
このお客様にも、顧客の本当の評価情報は、年に一回入手するものではなく、日常のコミュニケーションで日々飛び交っているものということを申し上げました。
そのため、月次のコミュニケーションの場に、日々の情報を吸い上げるしくみを提案しました。

顧客満足情報収集は、試行錯誤です。
有効に機能するかどうかは、やってみて常に見直しをすることが大事です。

次回は、8.2.3項について実況します。

現場発のISO9001コンサル実況【第9回 識別、トレーサビリティー】

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このお客様も、現在8.2項まで進捗しました。概ね「良い提案」と「良い議論」ができていると感じています。
今回は、「識別とトレーサビリティー」の実況です。

「識別」での提案と協議に際して、最重要点としてお客様へ理解して頂いたことは、”識別することが目的ではありません”ということです。
「識別」というと、やれ置場を決めようとか、表示をしようとかを考え始めることがあります。
それは、必要でしたら「美化運動」としてやってください。「識別」とは全く違います。

“混じってしまう可能性のある状況を、絶対に混じらないようにすること”です。
従って、大事なことは”混じってしまう可能性”がどこにあるかを見つける目です。

今回のお客様の例では、安易な現場の製品の区分けなどではなく、長期保存製品の識別を管理して頂く事を最優先として提案しました。
例えば、「その製 品は、今日現在で何日経過したのか。この先、受注引当の予定がどの程度あるのか。」
こういう情報の現場での見える化を行うことです。
これにより、現場の方が、一目瞭然で認識でき、「防錆処理の実施」「ラッピング処理」などを時が来たら自然と行えるようになりました。

トレーサビリティーは、2つの視点で提案と議論をしました。
一つは、単純に「お客様から指示された情報」はトレース(追跡)できるような記録を残しましょう」という点。
もう一つは、自社の要望として”こんな事がわかったらいいな”という情報です。

例えば、不良解析を行う時に、
  ”いつ加工したんだっけ?”
  ”どの機械で加工したんだっけ?”
などなど。こういう過去の情報がわかると原因究明が絞れてくるということが多々あります。
規格要求事項が求めている「トレーサビリティーが要求事項となっている場合」とは、顧客要求だけではありません。
改善につながる点では、自社要求の方が重要かもしれません。
今回のお客様も、「加工ロットの始めと終わりのトレースが取れる」ようにしました。
理由は、ロットの始めと終わりで加工特性などに違いが出て、その違いを加工精度改善に生かす価値があると判断したためです。

次回は、8.2.1項 顧客満足を予定しています。

現場発のISO9001コンサル実況【第8回 工程管理】

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前回の「7.4購買」から、「7.5製品実現」へと進捗しています。
今回は、工程管理についての実況をします。

一口に「工程管理」といっても、様々な考え方がありますが、今回のお客様の状況などを把握した上で、次のような考え方で工程管理を行いましょうとお話ししました。

 ・製品を作った結果の確認は「検査」でやりましょう。(もちろん、必要であれば。)
 ・「検査」で結果的に合格したから良いというのは、非常に低いレベルの管理です。
 ・「こういう順序で」「こういう基準で」「こういう方法で」「こういう設備で」…作った
  から、品質が保証できる。
  もっと生々しく言うと、「管理者が枕を高くして眠れるような工程」にすることです。

今回のお客様では「加工工程表」というもので具体的な提案をしました。
その中で、特に注力して明確にしたことは、次の2点です。

 ・作業者は何をするのか。
 ・作業者は何をしてはいけないのか。

簡単なことですが、多くの会社で疎かになっていることが多いのです。

例えば、部品の機械加工後、寸法検査をしたら公差が「+0.002」外れたとします。
その時、”自分の判断で再加工してよいのか。いけないのか。”のことです。
よく、作業手順を決めることが一番大事と誤解されますが、作業手順は文書化などしなくとも、問題なく実施できることがほとんどです。
それよりも大事な標準化は、「判断の標準化」にあります。
それらをよく理解していただき、「加工工程表」なるものに具現化することができました。

次回は、識別とトレーサビリティーについて実況します。

★追伸
先日、親友と数年ぶりに会いました。福島市に仕事に来たので昼食でもと突然の電話でした。
聞いたら、私のブログを常にチェックしていて、電話を思い立ったとのことでした。
その親友とは仕事上の関連性はありませんが、こうやってブログを公開するということの重みと責任を痛感した次第です。

現場発のISO9001コンサル実況【第7回 購買】

当ブログでは、私、渡邉和彦が担当させていただいているお客様の「実際の仕組み構築」に合わせ、臨場感のある“コンサルティング実況”“仕組み構築情報”を公開しています。

「7.4項 購買」「7.5項 製造の管理」のしくみ作りを行いました。
その中から「購買先評価」について実況します。

まず最初に理解して頂いたことは、購買先の評価が目的ではないということです。
「評価のための評価」になることは最悪です。
大事なことは「サプライチェーン マネジメント」の考えです。

製品品質の向上、顧客満足の向上を達成するためには、自社だけの努力では限界があります。
供給者(購買先)も含めて全体最適の状態を作ることが必要です。
そのために、「購買先に対し改善を促すための情報交換の”ネタ”を得る」ために評価をするのです。

具体的な提案では、「1年に1回、取引状況を振り返りながら、購買担当者が頭の中で点数付けをするようなことはお薦めしません。」と申し上げました。(形骸化する可能性が極めて高いやり方です。)
日々の取引の中で「本当に生々しい情報、問題など」は顕在化しているはずです。
その情報に基づき評価することが真実の評価です。
そして、真実の評価の結果、問題が顕在化したら、購買先とよく話しをし、できる限りの解決策をお互いに考えることが大事です。

決して、購買先だけに改善を押し付けることは得策ではありません。

現場発のISO9001コンサル実況【第6回 設計・開発】

当ブログでは、私、渡邉和彦が担当させていただいているお客様の「実際の仕組み構築」に合わせ、臨場感のある“コンサルティング実況”“仕組み構築情報”を公開しています。

このお客様の進捗も7章まで進みました。
今回は7.2項、7.3項のうち、7.3項の「設計・開発」を実況します。

このお客様の場合は、FA機器関係の設計業務を行っています。
“渡辺さん。この設計・開発の要求事項は意味が良くわからない。”
これが、お客様からの第一声でした。
お客様の実情を踏まえ、次のように説明しました。

設計・開発でやるべきことは物作りと一緒です。

計画 : これから何を作るかの計画(生産計画など)を立てるでしょう。
     それと一緒で、これから行う設計業務の計画(担当、期限など)を
     決めるのです。

インプット : 顧客からの受注情報を把握するでしょう。
        設計も、顧客からの基本仕様に従って実施するはずです。
        それをハッキリさせるのです。

アウトプット : 物作りは「何を何個作るのかが当然決まっていますよね」
         設計も同じで、何を(例えば、回路図、制御図、加工図、試作サンプル…)
         作るのかをハッキリさせるのです。

レビュー : 設計を行っている中でいろいろな形と場面で、「見直し」をするでしょう。
       それです。狭い解釈をしないで欲しいのは、見直しは必ずしも、何人かが
       集まって大々的に行うものではありません。
       例えば、設計者がCAD製図をしながら、その日の設計した箇所を自分で
       振り返ったりするでしょう。

検証 : 2つ前のアウトプットが完成した時の話しです。
     予定通り(インプット(顧客空の基本仕様))に”事”が進んで、予定通りのものが
     できたかを確認するのです。図面承認などをやっているでしょう。

妥当性確認 : この後、製品を作るんですよね。作ってみて、
         「やっぱり、あそこの設計が良くなかったから特性が出ない」とか、
         「こんな設計では、 製造が作りづらくてダメだ」とか、
         「こんな高い部品を使ったら予定原価に収まらない」など、
        製品を作ってみてわかることが多々あります。その確認のことです。

こうやって、説明させていただくと、実は100%既に行っていることでした。
お客様の心配は払拭されました。
ただし、細かな協議の中で、今まで徹底できていなかった
「試作段階での設計者の立会いと設計の視点でのチェックシートの活用」
を新たなルールとして盛り込みました。

このように、設計・開発のみならず、ISOが求めていること(特に7章)は、
既にやっていることのはずです。

  ・既にやっていることを整理し、再認識する。
  ・徹底できていなかったことを徹底する。
  ・今までの問題をこの機会に払拭する。

こういう考え方が、ISO9001では重要です。
次は「購買」の予定です。

現場発のISO9001コンサル実況【第5回 力量・教育訓練】

当ブログでは、私、渡邉和彦が担当させていただいているお客様の「実際の仕組み構築」に合わせ、臨場感のある“コンサルティング実況”“仕組み構築情報”を公開しています。

お客様のマニュアル作りも中盤を迎え、お客様も”ISOへの慣れ”が出てきたのでしょうか、開始当初より活発な意見、議論が行われています。
今回は、6章から「力量、教育訓練及び認識」のしくみ作りについて触れさせて頂きます。

「”教育訓練を行う”という切り口から入らないでください。教育訓練を行うかどうかなど、まだ誰もわかりません。」
私が最初にお客様へ強くお願いした言葉です。
ここでの重要なことは次に示す「順番」が大事です。(規格の要求している順番です。)

 ・QMSに必要な仕事は?
 ・その仕事を確実に行うために必要な力量(能力、経験など)は?
 ・その力量を持っている人がその仕事をやっている?
 ・力量を持っていない人がやっている、或いはやる可能性がある場合は、力量を持たせる。
 ・力量を持たせる方法の一つとして「教育訓練」を選択しても良い。

ルールを決める場合は、この順番で自社の考えを盛込み、ルールを決めることが重要です。
今回のお客様も、特にここに議論の時間を割いて頂きました。(ここがとても重要だからです。)
結果、”教育訓練に対する当初のイメージと全然違っていた。”との感想がありました。

「教育訓練を行うことが目的」「たくさん教育訓練を行う」・・・このような意識から入ると”最悪”です。
「大事な仕事は、その道のプロしかやらせない」・・・ここから入るのです。

次回は、仕事の幹の部分である、7章に入ります。

現場発のISO9001コンサル実況【第4回 文書管理・品質目標】

当ブログでは、私、渡邉和彦が担当させていただいているお客様の「実際の仕組み構築」に合わせ、臨場感のある“コンサルティング実況”“仕組み構築情報”を公開しています。

今回は、規格項番で言う所の「5.4項」まで進みましたので、実況報告を致します。
中でも「文書管理」「品質目標」の2つについてお客様と有効な協議ができましたのでピックアップしました。

まず「文書管理」ですが、”文書管理は付加価値を生まない無駄な仕事”という意識を持って頂きたいとお話しました。
「文書管理」を完璧に行っても顧客は褒めてくれないし、お金もくれません。”目的を果たすために如何に手を抜くか”が大事です。
目的は、ただ一つ「見るべきルール(文書)がすぐに見られる」ことです。
そのために、結果として承認者を決めたり、改訂管理をしたり、配布管理をすることが多いのです。お客様にはこの点に賛同頂き、会社に必要な最低限の且つ具体的な文書管理のルールを作成できました。

続いて「品質目標」ですが、既にこのお客様は、毎年期初に会社の活動方針とそれをどの部門が責任を持って行うかの計画を作成していました。
もう何も新たにやることは無いと判断しました。
会社の活動について、コンサルタントが良し悪しの判断をするなど無用です。
ただし、計画したことが本当に担当する社員の方へ伝わっているかどうかの確認(形骸化防止)と一部形骸化しそうな表現に対し、修正のご提案をしました。
非常に良い形で「品質目標」が決定したと思います。

次回は一週間後に規格項番の6章の報告です。「力量、教育訓練」を取上げる予定です。

現場発のISO9001コンサル実況【第3回 プロセスの明確化】

当ブログでは、私、渡邉和彦が担当させていただいているお客様の「実際の仕組み構築」に合わせ、臨場感のある“コンサルティング実況”“仕組み構築情報”を公開しています。

前回の「品質マニュアル(原案)」の提示に続き、いよいよ、しくみの構築作業を開始しました。
最初に、お客様の仕事に必要なプロセス(今回のお客様は「業務の流れ」という言葉に置き換えています。)を明確にする作業を行ないました。

お客様が行っている仕事、製品群、組織の状況などを検討し、9個の「業務の流れ」に決定いたしました。この9個が、品質マネジメントシステムを構成する主要な要素となります。
お客様との協議の中で、これらの業務の流れは、「フロー図」を活用し、仕事のやり方の流れと責任者が一元的に見えるような形での提案をしました。

文章で記載することも、表現方法の一つですが、
「仕事をする現場の社員の方に、視覚的に見える」ようにすることが重要と思います。

「ルール(文書)は使って”なんぼ”」です。決して、きれいにファイリングし、ファイル棚に整列させることが目的ではありません。
このような「フロー図」は、パスケースなどに入れて、作業現場へ掲示して使用していただくつもりです。

当日、引き続き進めた「文書管理のルール作り」にも関係してきますが、これは、次回のブログで、改めてご報告いたします。