株式会社昇栄様

ホームページ:http://pd-shoei.co.jp/

 白河市に本社を構える、株式会社昇栄様を訪問しました。
 昇栄様の主な顧客は、東証一部上場企業である住友ゴム工業株式会社様、ユニ・チャームプロダクツ株式会社様です。2社の工場物流管理に特化している企業です。
 従業員の皆さんは、顧客の物流部門であるという一体感を常にお持ちで、現場から、物流の合理化や改善の声が上がる企業としても有名です。
 全従業員数241名、昨年の売り上げ実績は約16億5千万円。2002年以来売上金額は増加傾向で10年間で売り上げを2倍にしています。
 2011年12月に取り組みを開始し、2012年6月に、ISO9001認証を取得されました。コンサルティングは渡辺が担当しました。

事務所に認証登録証が掲げられていました。
認証日は、2012年6月26日と記されています。

 代表取締役 金田昇様と、管理責任者である人事課課長 大高芳明様にお話を伺いました。

●ISO取得のためには全員参加が基本であるとお聞きしました。遠く離れた宮崎営業所との打ち合わせなどは、どのようにされたのでしょうか。
○金田社長
 テレビ会議活用しました。やるからには全員が同じ目標に向かってやりたいと思いました。
 当社で働く方には、預かっている製品や運搬する荷物は、お客様にとって現金であるという認識を徹底してもらっています。『銀行並みの商品管理』、『ホテル並みの現場管理』、『食品並みの鮮度管理』をしましょうというのが基本にあります。どういうことかといえば、銀行に預けているような間違いのない安心感ですね。それから、お預かりしている施設などを訪れたお客様が、もう一度訪問したいと思ってくれるような清潔な現場管理です。そして、もし商品が食品であれば、日付の古いものを後に出すというのはあり得ません。そのような気持ちで行う現場管理は、必ずお客様の儀希望や信頼に応えることになります。
 ムリ・ムラ・ムダをなくすことで、コストを下げることができますね。我が社には、『運ばない輸送』、『溜めない倉庫』、『触らない荷役』というキーワードがあります。運ぶ距離が短ければ短いほど運賃は安い。在庫量を減らすことは、お客様のコストに直結します。人間の手がかかればかかるほど傷がついたり破損したりするのです。工場から最終ユーザーへ直接出荷できればベストです。こうした考え方を全員が共有すれば、ますます良い企業になると思い、全員参加によるISO取得を目指しました。
 これまでも、お客様の考える管理手法・目指す手順に沿って、お客様と一体になって仕事をしてきました。ISO取得企業でもあるお客様と一緒にやっていますと、実際、現場ではISOに合致した管理をしていたということになります。それが、今回ISO9001を短期間で取得できた要因だったのではないかと思います。
 全員が、お客様と一緒にやっていくんだという強い気持ちを持っていたくれたことの証明にもなりました。現場を非常に誇りに思い、また嬉しく思っています。

●ほぼ半年という短期間にもかかわらず、全員で取り組まれたという事実に驚いています。その理由が、金田社長の説明でよく分かりました。
○金田社長
 全員参加は、次のステップに行くためにも必要なことです。企業継続のため、全員が参加することで、人材育成という意味でもレベルアップが可能だと考えました。たとえ経営陣や管理職が交代しても、問題意識や価値観を共有していれば、問題など発生しません。
 実は、問題解決に際して情報の共有化が必要であることは昨年の震災で実感し田ことでした。ガソリンの確保先や量の確認もそうでしたし、その仕事なら私ができますよなど、全員参加による情報の共有が徹底していたので、スピーディに震災復興に当たることができました。お客様からの信頼もひじょうに厚くなりましたし、その後、社内のコミュニケーション能力というものもとても高まりました。
 コンサルタントの渡辺さんは、どこの部署でヒアリングをしても同じ答えが返ってくると驚いていたはずです。それだけ当社は情報や考え方を共有しているということです。それだけ当社は情報や考え方を共有しているということです。トップの理念を共有している企業に育ったのだなとの感慨を持っています。

●ISO取得後、貴社の職場に変化はありましたでしょうか。
○金田社長
 会社がステップアップしたなと体感できたのが、ISO取得です。
 取得前は、営業がお客様から仕事をいただきますと、現場は、その仕事に合致した業務マニュアルやワークフローをひとつひとつ作成していました。それによって多様な仕事に対するスキルや技術も充実してきました。ですが、一生懸命にやっている仕事のスキルのレベルについて、各省が得られない状態でした。
 ISO9001を取得したことで、現場は、自分たちの実力を客観的に評価できるようになりました。当社のスキルはこのレベルにまで達しているので、それに合致する仕事を、こんどは、現場から営業に要望するようになりました。営業サイドは、現場の成長に力を注がなくてもよくなったのです。自分たちで進化していくというDNAが、ISOを取得したことでしっかりできましたから。巡回していますと、うちの現場はすごいなあ、本当に創意工夫をしているなあと感ずることが多いのです。お前たちはすごいよといつも褒めてしまいます(笑)。
 ところで、情報の共有化という意味で、ISOリーダーには専務でも取締役でもなく、人事課長である大高君を選びました。経営陣はそこに一切口を出さず、大高君と現場の各部署から抽出したメンバー数名のチームで、考えてやってくださいとお願いしました。チームは、自分たちで用語の意味を勉強し現場と意見交換しながら全員で情報を共有したはずです。ISOを取得するという決断こそトップダウンでしたが、やり方やコンサル会社の選定も、すべて大高君に一任しました。

●それでは大高課長にお聞きしますが、ISOの取組みについてはどのような感想をお持ちですか。
○大高課長
 渡辺さんの講義を聴いてISOの概略がだいぶわかるようになり、ISOの本も繰り返し読んで、1章から8章まですべてがロジカルにつながっているしくみなのだと思いました。
○金田社長
 ほんとによく勉強してくれたので、良かったなと思いましたよ。
○大高課長
 私の仕事は間接業務なので、現場の具体的なことについてはあまりわかっていませんでした。今回、ISOの管理責任者をさせていただいたおかげで、すべての業務を学ぶことができました。私にとっては本当に大きな収穫です(笑)。そういったものを、今後も展開していきたいと思っています。

●最後に、どうして当社東北環境技術を選ばれたのでしょうか。
○大高課長
 はい、まず法人企業のコンサルタントに依頼することに決めました。個人でコンサルされる方は除外しました。次に、地元の企業であること。こまめに通ってくれる企業かどうか、また、コンサル実績(企業数、業種)なども考慮して御社を選択しました。
○金田社長
 御社の渡辺さんと面談したところ、上から目線で教えてやる式のコンサルタントではありませんでした。彼なら、現場を歩き当社のスタッフ目線でコンサルできるのではないかと思いました。実際、渡辺さんを選んで正解だったと思います。問題があれば何度も通ってくれましたし、感謝している次第です。いつもニコニコしながら『ああしましょう、こうしましょう』と、楽しそうにコンサルされている姿が印象的でした。

現場の従業員の方が楽しんで仕事をされているのが目に浮かぶようです。
『現場を見ると本当に一生懸命にやっている、嬉しいなと思います。』
と話す金田社長の笑顔が心に残りました。

【編集後記】

 本当に現場を信頼している金田社長の発言が印象に残っています。
 現場の在庫管理はいつも性格だそうですが、なぜ性格なのか?その正確さを保つ方法は?同じルールを全社が共有しているわけですから、齟齬が生じないはずです。もし、いち営業所で齟齬が生じたら、会社全体の在庫管理が方法を見直すことが必要だと指摘されています。
 お客様目線に立った考え方について、たくさん述べられましたが、ページ数の関係で割愛した箇所もありました。なるほどなと感心する鋭い考察もお聞きしました。
 『当社はお金がないので知恵を出す。現場は毎日が発明工夫店のようだ(笑)。』と話されていました。コストがかからない改善を臨むお客様のお気持ちというものを、よく理解されています。顧客満足のための問題解決マニュアルができているかどうかで、企業は評価されるのだともおっしゃっていました。
 顧客第一主義の理念を全社に浸透させ、従業員の方もよくその理念を認識しているので、今後もますます発展する企業ではないかという印象を持ちました。上場すれば真っ先にこの企業の株式を購入したいとは、同行の男性社員の正直な独り言です(笑)。

2012年8月