シオヤユニテック株式会社様

ホームページ:http://www.sut-jp.com/

 福島市松川町に本社を構えるシオヤユニテック株式会社 様を訪問しました。
 極少量大型板金及び精密製缶事業、装置組み立て事業、環境機器の設計・開発・製造をされています。板金製缶製品事例としては液化天然ガス基地用プラズマディスプレイ盤、原子力発電所用コントロール室表示盤、大型機械装置用ダクト、変電所デスク盤をあげることができます。
 平成20年には、自社商品 遠赤外線除菌乾燥消臭装置「インフラボックス」の商標を登録したそうです。顧客がほぼ10km圏内に位置するため、物流費の削減や打合せ時間の短縮もできるといった近場の利を生かしたビジネスを展開しています。全従業員数32名です。
 2009年4月に取組を始め、ISO9001を同年12月に、ISO14001を2010年4月に取得されています。担当コンサルタントは、渡辺でした。

 取締役製造部長・工場長 半澤衛様と、ISO事務局であり業務管理チーム係長の高橋正道様に、お話を伺いました。

ISO活動についてざっくばらんに
生々しいお話をしていただきました。
ありがとうございます。

●ISO取得の経緯などお聞かせください。社長のトップダウンだと聞いていますが。
○半澤工場長
 ホームページに、ISO取得の目的を掲示しています。楽しくのびのびと働ける職場づくりのためです。人ありきの経営、個人のための組織、組織のための個人も重要ですが、喜働の職場づくりに必要と社長が決断しました。
○高橋係長
 リーマンショック時が、取得のスタートです。当時売り上げが少ない時も、社長はワークシェアリングを採用して従業員を解雇しませんでした。仕事が少ないことをマイナスと捉えず、この時期にISOを取得しようと踏ん切りをつけたのも社長です。社内の仕組みづくりに充てる時間が確保できたとプラスに考えたのだと思います。

●ISOを取得して、会社にとってプラスになったということは、具体的に何かありますか?
○半澤工場長
 一言でいえば、すべてがプラスになっているような気がします。取り組む前は、ISOはおカタくてほど遠いものだったんです。最初のころはつらいものはあったし、これは大変だなと思ったものです。でも、取得してもう3年になりますが、振り返ってみると、普通にやるべきことをただ単に仕組みを作ってやっているだけなんですね。だからそんなに大変なことというのは実際にはないんです。今までみんなバラバラだった方向性とかが、完ぺきではないがまとまりつつあると実感しています。社長も取得前に言っていたのですが、ISOを一つの道具として使っていけばよいのかなと思います。

●ISO9001と14001、両方でしたね。9001を先にして14001は後で取り組まれました。
○半澤工場長
 14001は、節電やごみの削減とかいう方向じゃなくて、品質を良くすれば環境も良くなるという社長の考えがありました。
○高橋係長
 当社は、能動的に減らすべきごみはありませんでしたし、鉄くずは再利用できる。では歩留まりを良くして製品になる率を上げようという仕組みを作りました。それも、生産性を落としては本末転倒だからほぼ現状監視という仕組みにしました。そういう仕組みでいいんだということも、コンサルタントの渡辺さんに来ていただいてわかったことです。ISOというのはこれでいいんだということが分かっただけでも、意識の転換です(笑)。

●ISO取得が会社の業績、特に売り上げ増加などに寄与したことはございますか?
○半澤工場長
 社内の仕組み作りが当初の目的でしたので、売り上げ増加のためという意識はありませんでした。でも、始まってすぐに会社設立以来のお客様から、ISOの取得要請があり、急遽急いで取得することになってしまいました。取得後も、大きい会社とのお付き合いが始まる際に、ISO取得をしているか聞かれることは、最近多いです。
○高橋係長
 取引先からの聞き取り調査のようなものがあるんですが、その際ISO基準に則って作成した資料や記録を提示して説明ができるようになった。これが、ISOに取組んでいなかったら、筋道の通った説明ができずお客様に安心してはもらえなかったでしょう。

●ISO取得後、貴社の職場に変化はありましたか?
○高橋係長
 不良品発生率が、取得前に比べ30%以下に激減しました。取得から3年経過していますが、着実に不良品発生率のグラフが下降しています。原因究明に全員が同じ目線で見ることができ、問題点を語る言葉の意味も統一されてきましたので情報がスムーズに伝達できるからだと思います。いちいち不良対策会議をせずに済みます。また、お客様に迷惑をかけずに済み、我々もやり直しをせずに済む。結果として、環境のほうにも良い結果を出しているということになります。

●皆様とお話ししていると、じつにアットホームで、なんでも話せる雰囲気が感じられるのですが、なぜなのでしょう(笑)?
○高橋係長
 社員が大勢いるわけではないので、昔から自由闊達に部下上司関係なく意見を言える風土がありました。
○半澤工場長
 ISOをやって、自分の意識が一番変わったかもしれません(笑)。
○高橋係長
 こんなことをやったらどうですかという提案をしても、全部却下されていました(笑)。でも、ISOに取組始めたら、ああそれなら楽だね、それならだれでもできるよね、あったほうがいいよねということが増えました。

●それだけ風通しが良ければ、他部門でどんな問題を抱えているかも、皆がわかっているということでしょうか。
○高橋工場長
 そうですね。我が社の場合、品証という最終工程がないので、各工程が次の工程に100%責任をもって出そうという仕組みで回っています。何かあればメッセージを残して皆がわかるようにしています。ただ、隣の人のアイディアを借用すれば、もっと改善できるのでは?という段階に行くのは、次のステップかなと考えています。

●毎年の内部監査に当社の渡辺コンサルも立ち会わせていただいていますね。印象はいかがですか?本人は、座学講習より皆様の監査を聞くのが楽しいと言っておりました(笑)。
○半澤工場長
 各人の問題意識が異なるし、ひとつの問題に固執して長時間取り上げる人間もいるので、アドバイスするのに疲れてしまうのではないのでしょうか(笑)。改善の切り口など指導してもらえるので、感謝しています。
○高橋係長
 上から目線ではなく現場に立って同じ目線で考えてもらうので、話す言葉にも説得 力があります。渡辺さんからこんな事例がある、こんなアイディアがあると言っていただけると、一つの考えに固執している人も、ああそういう考え方もあるのかと、少なくともその場は共鳴してくれる瞬間がある。その繰り返しでの自覚教育、無意識のうちにISOらしくなってくればいいと思います。こうした意識教育は、マニュアルには書けない部分ですが、これからは大事だと思っています。

●今年は新入社員を採用されたのでしょうか?新人教育マニュアルなどは完備されていますか?
○半澤工場長
 2名採用しています。作業手順書は各自持たせています。しかし、一品一様でマニュアルにない製品を製造する場合が多いのです。その場合の作業手順書を作ると、相当なボリュームになってしまうと思います。どうするのかがこれからの課題でもあります。その製品の工程表はマニュアルにはないので製造できないと、新人に言われないようにするにはどうしたら良いのか、真剣に考えています。
○高橋係長
 杓子定規にとらわれず柔軟な対応ができるように教育するのが我々の務めだと思っています。審査を受けてISOを維持するだけでなく、マネジメントレビューで伝えたことが、きちんと末端まで伝わっているのかどうか、仕組みを変えたら意図したように現場は動いてくれるのかという点でのずれが、今後はなくなるようにしたいと考えています。

●最後に、福島でもの作りを続ける上で心がけていらっしゃることなどお教えください。
○半澤工場長、高橋係長
 顧客からの要望に応えて、一個一個良質で丁寧なモノ作りを続けること、顧客の短納期にできるだけ応えること、顧客の図面を見ながら当社で改善できることをアドバイスすることなどを心がけています。その結果が受注に結び付くと考えています。
 また、顧客の満足する姿を目にすることが我々モノ作りの誇りを一層高めてくれるのです。良い縁で結ばれた顧客との関係を維持することで、両社とも発展することが、我々の願いでもあります。

「リアルタイム表」を見せていただきました。
ISO取得以前から、社長のアイディアでやっているそうです。

1枚のシートに一つの製品情報が書かれます。
一つの工程が終了したら次工程の列にそのシートを移動します。
シートを移動する担当者のお気持ちには、
何とも言えない達成感があるのでしょうね。

現場の方も事務部門の方も、
工程進捗状況が一目瞭然で確認できます。
「これこそ『見える化』だね。」と、
審査機関からも言われるそうです。

【編集後記】
 営業担当がおらず専門技術に特化した技術者集団の企業です。
 お話を聞く中で、半澤様、高橋様お二人とも、常日頃から仕事に対する問題意識を持っていらっしゃることが良くわかります。モノ作りの心構えなどに、塩谷社長の薫陶を受けているということが伝わってきました。
 紙面の関係でインタビュー内容全てを掲載できず申し訳なく思っています。
  昨年5月には、福島第2原発の冷却装置の部品を大特急で作ったという話も伺いました。福島という地域に育った地場産業を、誇りにされています。福島からモ ノ作りをなくしてたまるものか、そのためには、他社にはない技術力で、他社がまねできないものを製造するのだという自負も感じられました。本当に福島のも の作りを誇りに感じられたインタビューでした。冗談などを言いながらの楽しい会話でしたので、こちらも羽目を外してしまいました。そのため編集するのに現 在苦労しています(笑)。
 ところで、ホームページによれば、社長の人生観に「縁尋機妙(えんじんきみょう)」というのがあります。良い縁がさら に良い縁を呼んで発展していく様は誠に妙なるものがあるとの意だそうです。そして、「多逢聖因(たほうしょういん)」。良い人に交わっていると、良い結果 に恵まれるの意だそうです。有名な陽明学者である安岡正篤先生の言葉だそうです。
 陽明学には、リーダーは部下や家族の幸せのために行動するとい う教えがあると聞いています。守るべき、愛する従業員がいるから経営はできるという教えを忠実に実行する塩谷社長には敬服する次第です。リーマンショック の際もリストラなどせず、社内の仕組みを点検する時期に来たのだと前向きに考えISO認証取得の決断をした、その姿勢には頭が下がる思いです。ぜひ次回 は、塩谷社長から何故この人生観に到達したのかお聞きしたいものです。

インタビュアー:有限会社インターナショナル・コミュニケーションズ代表 菅野孝雄
2012年9月