有限会社大橋工業様

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 福島県相馬市玉野に位置する本社工場を訪問いたしました。創業が昭和53年の、鋳物・鋳鉄・各種金属仕上げ加工・溶接・ガウジング・機械切断に特化している 企業です。(ガウジングというのは、『はつる』とか『えぐる』という意味だそうで、実際の作業を写真に収めていますので是非最後までお読みください。)
 福島市に福島工場、相馬市大野台にも相馬工場があり、資本金300万円、社員数34名ですが、品質の向上・納期の短縮・コストダウンを目指して全社一丸となり努力をされています。
 ISO9001認証取得のためのコンサルを、2008年4月から2009年4月まで実施させていただきました。担当は、内藤でした。

 代表取締役の大橋芳広様と、ISO担当の斎藤貢様よりお話を伺いました。

2009年5月 ISO9001認証取得。

●なぜ、ISO9001認証を取得されたのでしょうか?
○大橋社長
 全社で品質に対する意識の更なる向上を目指すため、そして、管理システムの充実を図るためです。また、取引先からの信頼感を強化するという目的がありました。以前、エコアクション21を取得した経験があるので、大きなハードルではないだろうと決断しました。

●大橋社長の目論見通り実行し、成果はありましたでしょうか?
○大橋社長
 社員全員、会社をもっと良くしたいという気持ちが強く、システムの構築ができてからは、その仕組みに沿って行動すれば目標が達成できると理解したようです。コンサル期間中は忙しく、三工場の日程を合わせるのがたいへんでコンサル日もたびたび変更していただきました。内藤さんが時間を調整してくれた夕方から、全員が熱心にコンサルを受けていたという印象があります。ISO認証取得のため当社に必要なものは何かという情報を、全員が共有できたのも成果だったかなと考えています。

●忙しい時期にコンサルを受けていた斎藤さんは、どのような感想をお持ちですか?
○斎藤様
 確かに多忙ではあったのですが、内藤さんのお話を伺うと、当社の実情に沿った改善ができるという感触を得ました。ユーモアを交えて大きな声で話してくれるので、ひじょうにわかりやすかったです。社長も言ってましたが、当社が忙しいのを知ると、コンサル時間を夕方や夜間へ調整してくれました。玉野地区は、道路の照明が少なく山道ですので、夜間の通行には気をつけねばなりません。たいへん苦労を掛けたと思います。

●そうですか。数あるコンサル企業の中から、東北環境技術に依頼をした決め手は何でしょうか?
○大橋社長
 私の知人から紹介を受けました。東北環境技術の河西部長と私の知人が同級生だったようです。しかも河西さんが相馬市出身であるということも決め手だったかもしれません。ホームページに、コンサル実績を公表していることで信用できました。でも詰めの価格交渉で河西さんがニコニコと人懐っこい顔を見せるので、シビアな交渉ができなかった思い出があります(笑)。

大橋社長様と斎藤様。
社長のブログは、必見です。

●石川島精密鋳造株式会社様、福島製鋼株式会社様はじめ、大手企業から受注されていますね。ホームページに記載されているのを拝読しました。お仕事は順調のようですね。
○大橋社長
 いや満足してはおりません。日本経済が順調ならば大手も我々クラスへ仕事を発注します。しかし経済が悪化すると大手は自社で内製化するので、当社の仕事は激減してしまうのです。リーマンショックの際は本当に苦労しました。現在は、リーマンショック以前の8割ほどまで回復しています。

●大橋工業様は、中国人研修生を受け入れていらっしゃいますね。なぜでしょうか?
○大橋社長
 帰国後に、日本の優れた鋳物・鋳鉄仕上げ技術を、中国国内に広めてほしいと思ったからです。最終ユーザーへ品質の優れた製品を供給すれば、顧客から感謝されるという技術者冥利を、日本で経験してほしいのです。また、品質の良い製品が国境を越えて輸入されれば日本のユーザーも満足するはずです。すべての利益は顧客にあるという考えを広めるため、受け入れを決断しました。しかし、これまで何十人もの中国人研修生を受け入れましたが、帰国後に中国国内で鋳鉄業に従事しているのは、ほんの2名ほどです。地道な仕事に従事するより、手っ取り早くお金を稼ぐという拝金思想が、中国にははびこっているように感じます。これが悲しい現実ですね。それでも、最良のサービスを顧客に提供することで、顧客が喜ぶ笑顔を心に刻み、日々仕事に精進する日本の技術者魂を、研修生全員が培って帰国したと信じています。

ガウジング作業の様子です。
作業の厳しさが伝わってきます。

○斎藤様
 研修生受け入れ当初は、生活習慣の違いから苦労しました。しかし、中国人研修生は、仕事を覚えるのに一生懸命です。力仕事も厭いません。日本の若者も採用していますが、研修生の頑張り度には負けているのではと感じています。自分の作った製品が陽の目を見ることで、社会に役立っている仕事をしていのだという自負も生まれてくるようです。

●日中関係が緊迫していますが、研修生受け入れという人的交流が、中国の若者に日本の良さや現状を知らしめることにもつながると思います。ところで、昨年のサーベイランスで、従業員が働いてよかったと思えるようなPDCA(Plan,Do,Check,Action)サイクルを構築すべきという、審査員からの指針があったそうですが、いかがでしょうか?
○斎藤様
 今は途中の段階ですが、現状の見直しをしています。当社においては、特に計画のところが弱く、まずは6.2.2 力量、教育・訓練のところから改善していき、先日出席したセミナーで学んだことも交えながら全体を見直します。ISO取得3年になるので、PDCAがうまく回るようにしていき たいと考えています。
 一般的に重労働と言われる鋳鉄業ですので、せめて精神的な負担を軽減するため、円滑なコミュニケーションを進めてきました。社員が職場の旅行や地域の祭りなどに喜んで参加するのも、その成果と思っています。

JRの、連結器部品です。

【編集後記】
 相馬市と福島市の中間に位置する玉野地区は、製品出荷の際、地域の利便性を発揮します。顧客も、相馬市、福島市に集中しているようです。
 大橋社長様、斎藤様のお話の端々に、「もっと会社を良くしたい」「もっと顧客満足度を高めたい」という情熱が感じられました。
 たまたま午後4時からのインタビューでしたので、帰る時分は真っ暗です。インタビュー終了後の夜間工場写真をうまく撮影できずとても残念です。

 大橋社長は、ブログを日々発信し続けています。ブログを読むと、ふるさと玉野地区を愛する方とわかります。震災後、道に迷って避難場所に戻れなかったお年寄りを助けられたそうです。ご家族から感謝されたという記事も読ませていただきました。
 故郷の為、どんな貢献ができるのかということを日頃から考えていらっしゃいます。
やはり、昔の『結い』の精神が、この玉野地区には健在のようです。困っている人がいれば住民全員で助け合うという精神が生きていることも、ブログで拝読しました。
 ぜひ、風光明媚な霊山を頂くふるさと玉野地区発展のため、事業を継続し、頑張ってほしいと願っています。
 中国人研修生と日本人社員の方が同じ職場でガウジング作業をしている現場を見学させていただきました。国同士がいがみ合っても、一緒に生活し共同作業をすることで、相互理解は生まれるはずだという感慨を持ち、帰途につきました。

インタビュアー:有限会社インターナショナル・コミュニケーションズ代表 菅野孝雄
2012年11月