株式会社小野工業所様

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 福島県福島市町庭坂に位置する、総合建設業で有名な株式会社小野工業所本社を訪問しました。目の前を通るフルーツライン沿いの果樹園からりんごの香りが漂うほど、環境が良いところです。
 創業が1889年、資本金5300万円、社員数34名の企業です。現在は、復興関係の公共事業主体に忙しく、人手が足りず正社員を募集しているそうです。
 ISO9001/14001認証取得のためのコンサルを、2010年9月から実施し、2011年3月に認証取得をされました。担当は、清和でした。

小野工業所様は、果樹園の並ぶ
フルーツライン沿いにあります。

 本日は、ISO管理責任者であり、一級土木施工管理技士で常務取締役工務企画本部長の加藤昭芳様からお話を伺いました。

●お忙しいと聞きましたが、どのような工事を受注されているのですか?
○加藤本部長
 震災工事と二次補修工事が多いですね。本当に震災関連事業が増加しました。除染作業も受注しており、震災で被害が発生した橋梁のメンテナンスも手掛けています。国交省関係の仕事が増加したと思っています。

●そうしますと、売り上げもリーマンショック以前に戻られたのでしょうか?
○加藤本部長
 リーマンショック以前に戻ったというより、売り上げはそれ以上に増加しています。先ほど話したように、一般土木工事以外に、復興工事が多いためです。リーマンショックで受注が減少した当時、ほとんどの企業が同様だったと思いますが、当社も苦労した時期が続きました。

●現在は、人材難で悩んでいるということでしょうか?
○加藤本部長
 国交省の方から、当社が現在何に困っているのかよく聞かれます。私は、人材難、特に、作業オペレーター不足、11tダンプカー調達に悩んでいると回答しています。港湾関係の復興工事のほうに資材と人材が集中しているのです。資材を発注しても調達の遅れが目立ちますし、人材募集してもなかなか人が集まらない状況が続いています。こうした理由で、一部の公共工事入札を辞退する状況に追い込まれています。入札したくても、資材が入手できないので辞退せざるを得ないのです。

●現況の悩みも良くわかりました。ところで、ISO認証を取得される決断をした理由をお聞かせください。
○加藤本部長
 1番目の理由は、公共事業を行う上での入札条件であるためです。2番目の理由は、経審加点の為です。経審とは、経営事項審査の略です。公共事業の入札に参加する建設業者の企業規模・経営状況などの客観事項を数値化した審査を指します。企業の格付けは、経審の結果を基につけられると言ってもよいでしょう。経審を受けていない企業は、公共事業の入札参加資格申請をすることができないのです。3番目には、以前取得したISO9001の運用を合理化したかったからです。

●既存取得のISO9001と新規のISO14001を、統合マネジメントシステムとして認証取得した経緯をお聞かせ願えますか?
○加藤本部長
 以前学習したISO9001は、文書が厚くて読むのにも苦労しました。ところが、東北環境技術の清和さんから、現在のISO9001の必要書類は以前の十分の一まで簡素化されたと聞き、やってみようという気になりました。そして、環境マネジメント認証取得にも、一緒にチャレンジすることを決断いたしました。我々の作業には、環境保全という項目が必ずついて回ります。地球環境を汚さないためにはどのような取組をしたらよいか、現場を巡回しながら、作業員と何度も話し合いを持ちました。道路を高圧洗浄すれば、地域の環境はきれいになりますが、洗浄した汚染水が河川に流れ込むと地球環境を汚すことになります。地球規模から考えれば、環境問題は難しいですね。

●東北環境技術へコンサルを依頼した決め手は何だったでしょう?
○加藤本部長
 ISO認証取得に詳しい知人からの紹介でした。実績のある県内の企業ということもあり、お願いしました。その後にわかったことですが、東北環境技術の常磐社長さんが、近所の方だったということに驚きました。こちらに来訪されてお話を伺い、近所の方ならサービスもよいだろうと思いました(笑)。

●東北環境技術のコンサルについての感想をお聞かせください。
○加藤本部長
 清和さんは、当社との最初の打合せで、使い勝手の良い仕組みを全員参加で作りましょうと話してくれました。疑問に思ったことは率直に訊ねてほしいとにこにこしながら語りかけてくれたので、スムーズにコミュニケーションがとれるようになったと思います。
 地域社会に貢献する企業であるとともに、自分たちに仕事遂行にも役立つ仕組みを作ろうと、全員が一丸になった思い出があります。

手直し工事が激減したと
加藤本部長が話してくださいました。

●認証取得をされたメリットについてぜひお聞かせください。
○加藤本部長
 発注者側と、社会的に対等の立場で品質を論ずることができるようになったことでしょうか。日々、品質管理さえ徹底していれば、製造会社でいう不良品は発生しないのです。建設業では、手直し工事が不良品に当たると思いますが、仕組みができてからは、本当に手直し工事が激減しました。
 無駄な出費も抑えられましたし、経営の合理化にも寄与したと思います。工事本部長が品質の維持管理に責任をもち、すべてを仕切るという組織を作っていますので、改善のスピードも速いと思っています。

●新人の教育にも生かされているのでしょうか?
○加藤本部長
 今年も、3名の新人が入社しました。営業本部が新人カリキュラムを作成しています。それに準じて、教育マニュアルもできていますので、新人教育はスムーズに実行しています。ISOに関する教育は、私が担当しています。

被災地復旧への貢献に対し、
感謝状を授与されたそうです。

【編集後記】
 労働災害をゼロにしたいがなかなか達成できないのが悩みの種であるとのお話を伺いました。建設作業の厳しさと、異なる建設作業現場への対応の難しさなど、なかなか克服できない問題は存在すると認識しました。
  一般的な作業現場ごとのマニュアルを作成しても、その現場に行かねば現実的な手直しなどできないはずです。その意味では、工事監督をされる方の気苦労は、 たいへんなものだと思いました。四季を通じて同じ現場での作業はないのですから、足場の悪い場所、高所作業の現場などでは、毎朝の作業注意事項を監督が繰 り返しているのもうなづけます。
 管理責任者がリーダーシップを発揮しているので、小野工業所様は上手に総合マネジメントを運用されているなとの 印象を受けました。震災当日、現場社員の安全を確認する連絡手段がなく、現場を直接巡回して、夕方ようやく全員の安全を確認したという話をうかがいまし た。これも異なる現場作業につきものの苦労ということでしょう。
 ところで、現場を訪問する際、必ず5Sのチェックをしているそうです。汚い現場は発注者が一番嫌う点でもあるので、常に整理整頓清潔を心がけてパトロールしているそうです。
  小野工業所様は、特定建設業者として広いエリアの受注に努めています。特定建設業許可を取得するためには、専任の技術者が一級でないといけません。建設工 事業の場合、一級土木施工管理技士又は一級建築士が常駐していないといけないそうです。このようなお話も、勉強になりました。

インタビュアー:有限会社インターナショナル・コミュニケーションズ代表 菅野孝雄
2012年12月