ライオン菓子株式会社様

ホームページ:http://www.lion-k.co.jp/

 昭和62年4月福島県二本松市安達ヶ原に設立された、ライオン菓子株式会社二本松工場を訪問いたしました。
  この企業は、明治38年に東京都港区麻布にて創業した伝統ある菓子の製造販売企業様です。年配の方ならば「ライオネスコーヒーキャンディ」の製造元と言っ た方がわかるかもしれません。二本松工場は、小高い丘に位置しており風光明媚な環境を誇っています。資本金は2000万円です。近年は、「きえちゃうキャ ンディー」「ゆずのど飴」の製造元としても有名です。
 さて二本松工場は、2005年10月にISO9001:2000認証を取得し、現在はISO9001:2008へ移行しています。

工場の玄関では、ライオン菓子株式会社様の
マスコットが出迎えてくれます。

 今回は、ISO管理責任者である生産部部長の大野恭弘様と、事務局である品質保証部の佐藤貴之様から、取得に関わるお話しや現状についてお聞きしました。

●8年前に認証取得されたのでお忘れかもしれませんが、取得に関わる御苦労話などお聞きしたいのですが。
○佐藤様
 多分、どの製造企業でも同じでしょうが、QMS文書を作成することに時間がかかったことではないでしょうか。作業工程や製造検査の仕組みを現場の方に書いてもらう際、なぜ書く必要があるのか納得してもらうための講習会を、たびたび開催したと以前の事務局から聞いた覚えがあります。使用するISO独特の用語説明に時間をかけていたという思い出があります。統一された用語を社内で使用することから始めました。文語体から口語体へ変換したぐらい、社内用語が変わったのではないでしょうか(笑)。私も内部監査員講習会を経て事務局に携わっていますが、用語についてよく学習した思い出があります。

●東北環境技術が会社立ち上げしてから2年目の顧客様ですから、担当の渡辺コンサルも気合が入っていたのではないでしょうか(笑)?
○佐藤様
 そうだと思います。文書化に関する要求事項も厳格そのものだったと前の事務局から聞いております(笑)。しかし、我々もこの8年間で、構築したQMSレベルに改良を加えて、使いやすくしたと自負しています。年々改善したことでISO9001基準に則った当社独自の品質管理体制ができています。

ISO9001の認証登録証です。

●ISO導入目的は、顧客からの取得要請とトップダウンによる社内品質管理体制の確立とお聞きしています。また事務局も交代されていますが、積極的にQMSの運用を行っている企業であると渡辺コンサルから聞いています。ですから佐藤様のおっしゃる独自の品質管理体制ができたのでしょう。
○佐藤様
 そう指摘していただけるのは嬉しいですね。認証取得後も、複数回のコンサルを渡辺コンサルから受けております。当社のQMSレベルが落ちないように努力しています。工場長のトップダウン内容を、管理責任者が良く理解されて事務局に的確な指示を出してくれたことも改善につながっていると感じています。

●佐藤様から管理責任者の大野様を評価される声が上がりましたが、大野様は自分の役割分担についてはどのようにお考えでしょうか?
○大野部長
 取得以前は、誰ひとりISOに知見がある人間はおりませんでした。ゼロからのスタートでした。そのため渡辺コンサルの指導に頼ることが多々ありました。また取得以前は、暗黙の了解という記述にできない規則などもありました。これも文書化することで意思疎通ができるようになりました。先輩からの引き継ぎや新人教育も、それぞれ前任者の判断で教えていました。これも体系化できたことで、引き継ぐにはどんな書類が必要なのか、どんな教育が必要なのか明示されたことは、全社員の情報として共有化されました。
 それからISO認証取得後は、職場の雰囲気ががらりと変わりました。文書化の意味を理解したことで、管理に対する考え方も変わったのです。整理、整頓、清潔に積極的に現場が取り組むようになりました。社員一人一人が品質を維持するためにはどうしたら良いのか、考え出したのです。
 認証取得して本当に良かったと思っています。我々管理責任者は、この独創性が社内の風土として定着するようにお手伝いを、と考えています。品質管理体制を維持するための社員モチベーションを上げることが私の役割かなと思っています。
○佐藤様
 この8年間で、記録の記載漏れもなくなりました。記録を残さないのはおかしいと全員が認識するようになりました。
 ところで、異物混入は食品工業で一番嫌われます。認証取得以前と以後ではその混入予防対策も飛躍的に改善されました。これも、お客様の安全を第一と考える社内風土が根付いたことに関係します。品質向上のための品質管理をどうするのか、日夜考えています。

出荷待ちの商品でしょうか?
よく整頓されています。

●ところで、御社の業績について、差し支えない範囲でお教え願えますか?東日本大震災の影響を受けたのでしょうか?
○大野部長
 大地震の直前までは右肩上がりだったと思います。残業も多かったですね。人員配置について悩んだことを思い出します。
 しかし、震災後は放射線の風評被害で悩まされています。この風評被害の影響で、生産量は一時落ち込みました。現況ですが、顧客からの注文が戻りつつあります。この傾向が存続することを願っています。2年弱ほど風評被害に悩まされました。加工食品なので問題ないはないのですが、原発事故直ぐに、水・原料・製造ラインの放射線量を計測するため、東京の日本分析   センターへ現物を持ち込みました。結果、NDということで問題はありませんでした。
○佐藤様
 ガソリンも欠乏しており高速道路も復旧していませんでしたが、東京まで自動車で運搬しました。その後も毎月1回、分析センターへ分析依頼を継続しています。当時は多くの顧客から検査証明書を求められました。

●さて御社の新人教育についてはどのように勧めていらっしゃるのでしょうか?
○大野部長
 新人教育マニュアルに則って行っています。現場研修もありますが、座学にも力を入れています。この座学でISOについての教育を入念に行っています。なぜ当社がISO9001を取得したのかといった基本的な話から教えます。最初からISOに取り組むことで、品質管理がなぜ重要なのか理解できると考えています。
○佐藤様
 ISO9001を知ることで、職場の先輩や同僚と同じ言語で話すことができる訳です。新人がOJTで用語の意味を聞くことのないよう勉強してもらいます。そのことで、指導する人間への負担を減らせますので。

●今の新人教育についてのお話を伺い、さすが8年間QMSを実践されている企業だなと感心しました。そこで、一番認証後印象に残っている変化などを挙げていただきたいのですが?
○大野部長
 品質目標が課ごとに分化され、課ごとに成果達成度を評価するようになった点でしょうか。取得前は、工場一丸となり、ある目標を達成しようといった漠然とした目標でした。取得後は具体的な数値目標を各課が立案するようになりました。その成果を基に次の目標が立案されますので時系列に管理ができるようになりました。
 企業本体の目標達成に向かって全員が取り組むのも大事ですが、個人や各課が具体的な数値目標を設定するようになりました。目標審査の際、目標設定が低いと他部門から叱責を受けますので、実現可能な高い目標を掲げて部門ごとに努力するようになりました。これが大きな改善につながっています。

●これ以上お聞きするとインタビュー原稿枚数が多くなり訪問記に掲載できそうもありません(笑)。本日は、どうもありがとうございました。

製品のほんの一例です。
玄関に展示されていました。

【編集後記】
  ISO取得後8年経過した企業様は様々な改良を加えて自分のものにしているのだなと感心しました。導入直後から現在に至るまでの苦労や改善点も、具体的に お話ししていただきました。また、風評被害から福島県産の果物を使用しないでくれとの顧客要望もあり、苦慮しているなど現状抱える悩みも率直に語っていた だきました。地場企業様の業績が回復されんことを切に願っております。
 ところで、受験生の頃(何十年前でしょう?)、眠気防止と脳の栄養にライ オネスコーヒーキャンディが良いと聞いて毎日食べていた記憶があります。バターボールも懐かしい味です。先日も咽頭炎になったので、「ゆずのど飴」を購入 しました。我々に身近な菓子メーカー様を今後も応援いたしましょう。
 最後に、渡辺コンサルへの評価をお聞きしますと、下記の通りでした。
○大野部長
 具体的に噛み砕いた講義だったのでわかりやすかった。丁寧な方だと思います。
○佐藤様
 渡辺コンサルは、ISO9001はこうあるべきだという大上段に構えた話をせず、当社の実情に合わせた改善例を示してくれました。当社の品質管理(取得以前)とISO規格を比較して話してくれたので、理解するのが早かったと思います。

インタビュアー:有限会社インターナショナル・コミュニケーションズ代表 菅野孝雄
2013年2月