三浦電気工事株式会社様

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 いわき市にある、三浦電気工事株式会社様をお訪ねしました。社名の通り、電気設備や計装設備の設計施工をされている会社です。東京営業所の所長であり、業務部長も兼務されている箱崎眞治部長にお話を伺いました。

 2017年11月から約1年間、ISO9001とISO14001に取り組み、2018年12月に両方の認証を取得されました。コンサルタントは、内藤でした。

●箱崎部長は、主に東京にいらっしゃると伺っています。どんな仕事をされているのですか?
○箱崎部長
 営業の仕事、主に現場の統括などでお客様との折衝などもしています。
 今回の東京五輪の国立競技場の仕事もしました。2019年は、本当に大変でした。建設業界の労働力不足もあって遅れ気味だったので、特に夏以降はものすごい勢いで工事にあたりました。

●2018年の12月に同時認証で取得されました。本格的に忙しくなる前に取り組んだということですね。認証取得の理由を教えてください。
○箱崎部長
 実は、10年ほど前に、一度認証を返上しています。やはり私が管理責任者となって約10年間継続していましたが…。ISOのためだけの記録だったり担当者だけのワークになったりして、とても重いものになってしまった。有効ではないという判断から返上しました。
 今回、昨今の官庁工事の入札システムの企業評価項目の一つであるISO取得が、当社にとって大きなファクターになっているのがわかり、ISOを取得して入札に対して有利な条件を整えよう、もう一度取ろうということになりました。そして、どうせ取るならISO14001もということになりました。正直なところ、「え?またやるの?」という気持ちでしたが、入札担当部署に聞くと企業評価項目の僅かな差、ISOを取得しているか否かで落札できないケースも多々あるというのです。それならば、再び真剣にやろうということになりました。
 以前のISOの取り組みの失敗を理解したうえで、そこからの反省を生かすことを要望として受け入れてくれるコンサルタントにお願いしようということになりました。

コンサルタントの印象は、いかがでしたか?
○箱崎部長
 大学の少人数のゼミを受けているようで、とてもよかったです。前の時は大きな部屋でコンサルタントの堅苦しい講義を受けているみたいでしたが、今回は、小さなテーブルをみんなで囲んでとてもフレンドリーな雰囲気でした。我々の失敗をよく聞きだしてくれて、それを基にスピーディーに形にして提案してくれました。マニュアルも、文字だけが並んだ文書ではなく、イメージ図で示してくれたのでとても分かりやすかったです。
 内藤さんから、『御社は何十年もきちんと利益をあげてやってきているんだから、すでにISOはできている、仕事の中身をISOに当てはめていきましょう。』と言われました。目からウロコが落ちたようでした。日常の仕事がISOなのだと。

●そうすると、ISOの取り組みの様子も、以前とはかなり違いましたか?
○箱崎部長
 今回は、初めから各部署のキーパーソンをスタッフとして集め、浸透しやすいようにしました。各部の展開はそのスタッフがやればよいのです。一年間で二つの認証というハードルは高かったと思いますが、だらだら長く、例えば9001を取った後に14001をというよりは一度に取り組んだ方が我々にとってはうまくいった要因かなと思っています。
 それから、以前は書類とそのための作業がたいへん多かった。小さい書棚が1個必要でした。ですが今は、ファイルが数冊並んでいるだけです。現場では、日常使っている書類がそのまま使えるようにしています。改めて作った書類はほぼありません。「なんか、前と違うよね。」と言われることも(笑)。堅苦しく紙に書いていろいろやるのではなく、日常していることがISOの理念の中でやっていることなんだと認識し、負担感なくやっています。

マネジメントレビューの様子も、進化しているようですね。
○箱崎部長
 内藤さんから、『毎月実施しているミーティングが小さなマネジメントレビューになっていませんか』と言われて。以前は担当者が各部を回っていろいろと資料を集めて報告書を作って…年に一回の一大報告大会みたいなことをしていました。それが、年に12回というパターンにした。ものすごく身近になりました。これが一番大きな革命みたいなことでしたね。
 審査もそうです。認証取得してから初めての定期審査が11月にありましたが、そのために特別な準備は何もしませんでした。以前は担当者が各部署を回ってたくさんの準備をしていましたが、今はいつも使っている書類を要望に従って持ってくればいい。通常業務をやっていれば審査に対応できるような状況になっています。

ISO14001の取り組みは、どんなことをされているんですか?
○箱崎部長
 最初、単純に産業廃棄物を少なくすることを考えていましたが、我々は建設業なので仕事が増えれば当然産廃も増える。なくそうという考えではなく、きちんと管理しようということ、それと近隣地域への配慮ですね。現場は毎回違う環境になるので、近隣地域に対してどんなことが脅威になるのか察知し、安心していただけるように前もって地域の皆様に説明することをしています。
 管理については、内藤さんが私たちの苦手な法律についていろいろ対応を考えてくれました。例えば、現場で使い残した塗料を持ち帰って何となく置き場所を作ってしまうと、結果、塗料が溜まる。そうすると指定数を超えるので役所に届出を出し管理して査察を受けなくちゃいけない。『これ、本当に要るの?』と一つ一つ検討した結果、縮小して指定数量以下になれば、届出さえ不要になりました。塗料の他にもそういう改善の実績が多々上がりました。法律に抵触しないような管理の仕方を考えられたのは、ISO14001に取り組んだおかげです。安全管理や社員の健康管理にも、貢献していると思います。

●認証取得して、一年以上が経過しました。内部監査のほうは変化がありますか?
○箱崎部長
 前回は1部門対1部門の間での内部監査で、それだと内部監査のレベルに違いがあったり監査員の見方が偏ってしまったりしていました。部門間だと日程もなかなか決まらなかったので、日にちを決めてみんなでやろうということになりました。一つの部署に対して他の部署がチームになってやるのです。いろんな角度から監査でき、みんなでやったほうが勉強にもなるだろうと。近々実施するのでどうなるか楽しみです。
 また、前回は認証取得を目的としたマニュアルチェックが主なテーマでしたが、次は本当の実務に対する内部監査になります。多分会社のリスクになっている部分や不適合などたくさんあるはず。たくさんのリカバリーが行われているはずなんですが、その情報の共有化がされていない。そんなことを考え、今度の内部監査は、『不適合の抽出はどうですか』というのをテーマにしています。いろいろ意見を出し合って不適合の抽出をしやすい状況を作って、みんなで共通の認識としたいと考えています。

●御社の業績といいますか、概況などお差し支えない範囲でお聞かせください。
○箱崎部長
 認証取得して一年、経審で加点があり入札の時、ギリギリのところで負けていたものが勝てるようになった。見積金額が大きいものになるほど、評価点の重みが増してくることを実感しています。

●認証取得を目指す会社は他にもあります。よろしければアドバイスなどいただけませんか。
○箱崎部長
 やってみると目からウロコと感じることが多いと思います。長年当たり前にやっていること、うまくいっていることって、なかなか振りむかないじゃないですか。今回とても大変だったけれどもそういったことを振り返り、驚くような気付きがありました。自分たちの仕事をお客様目線で見れるようになる。ISOって、今までやっていたことを見直すには、一番いいツールじゃないかなと思います。
 ISOは、以前は完全なお荷物だったのですが、今では、『簡素化』という言葉ではなく、仕事の中でやっていくものと感じています。初めのころは意識していませんでしたが、ISOの考え方をやっていれば、ムダムラをなくせるしコスト削減にもつながる。品質の良さを追求するのは当たり前ですが、お客様からの信頼を得られれば受注も増えていく。ISOって、余計なことではなく、会社の仕事の中にあって会社の利益につながっていくツールであると思っています。

【編集後記】
 箱崎部長は、終始にこにことお話をしてくださいました。
 近々行われると伺った内部監査が実施され、後日、お電話でご様子を聞きました。
 とても活発に意見交換が行われ、さまざまなアイディアが出されたそうです。進化をしている実感が、声ににじみ出ていました。
 私も、目の前で色々と工夫を重ねていらっしゃるご様子に、嬉しくなりました。ありがとうございました。

筆者:鈴木 忍  2020年3月